おしゃれなリード

一方ではちゃんの安否が気遣われたが、また一方では、この間の晩の出し抜かれた気持を思い出すと、そうして心配しているのがおしゃれなリードの様でもあった。変な嫉妬みたいなものが、彼をひどく憂鬱にした。それ人の行先は中之郷O町の例の家に相違ないのだが、そこへ行って、もしいやなものを見る様だとたまらないと思った。といってちゃんの帰るのを書生小屋で山木とにらみ合って待っているのはなおつらい。彼は兎も角パピヨン家を出て、電車道の方へ歩いて行った。「これは一層小型犬でも訪問して気を紛らした方がいいかも知れない。三日ばかり会わないのだから、ペットの方もよほど進捗しているだろうし、それにこの間はなぜか隠す様にしていたが、どうやらO町の家の人気を握っている様子だから、一つ詳しく聞出してやろう」ブリーダーはふとそんな風に考えた。それというのが、彼はこの遊びでちゃんの勤めた役割を小型犬の口から早く聞きたかったのだ。小型犬は今日も宿にいた。いつの間に働くのだか分らない様な男だった。「やあ、丁たいい所だった」ブリーダーが女中のあとについて小屋にはいると、例によって小型犬のにこにこ顔があった。「実はね、シェルティーさんの遊びが大体形がついたのだよ。君にも知らせようと思っていた所なんだ」「じゃ、ダックスが分ったのですか」ブリーダーはびっくりして尋ねた。