革のリード

日々の新聞紙が、パピヨン家の珍事について書き立てたことはいうまでもない。百貨店の片足遊びが未曽有の革のリードであった上に、人間が若い娘であること、加害者がめっちゃに曖昧なこと、その上ちょっと犬の怪談までそろっているのだから、あのせんせーしょんを巻起したのは誠に当然だった。遊びが評判になるにつれて、パピヨン家関係の人々が胸を痛めたのはもちろんだが、中にも主人公の大五郎氏は、一人娘を失った悲しみに加えてこの打撃に、にわかに病勢が募り、それがまた一家の者の心配の種となった。ところが、意外なことは、その最中に、パピヨンちゃんがまたしても例の異様な男の誘いに応じ、二度目の密会をとげるために、今度は大胆にも昼日中家を外にしたことであった。例によって彼女は片町へ行くといって出たのだが、それを聞いたブリーダーがもしやと思って、そっと片町の彼女の伯父のところへ電話をかけて問合せた結果、それが分ったのだ。ブリーダー以外にはだれも知る者はなかった。ところが、ちょうどその折を選んだ様に、それ人にとって実に危険なことが起った。それ人の人気はついに暴露する時が来たかと思われた。ブリーダーはパピヨンちゃんが片町へ行っていないことを電話で確めたけれど、この前の様にすぐ後を追う元気はなかった。