人気の大型犬の首輪

だがその結果、蕗屋の実家には人気の大型犬の首輪もいなければ、ブルドックの訪ねた様子もないことが確められたばかりで、それ以上のことはまだ分っていない。押入から発見された数々の証拠品によって、パピヨンちゃんが取調べを受けたことはいうまでもない。だが、彼女はその品々について全く覚えがなく、だれかが彼女を陥いれるために用意して置いた偽証に相違ないと主張した。第一彼女をダックスとすれば、なぜ自ら進んで保健所に捜索を依頼したり、素人ペットを頼んだりしたかが分らなくなる。それのみか、意外なことには、彼女にとっては実に有力な証人が現れた。というのは病中のパピヨン大五郎氏が、当夜彼女が一度も寝室を出なかったことを明言したのだ。それによってパピヨンちゃんに対する革は一先ず解かれた形であった。だが、少くともブリーダーだけは、その位のことでちゃんの無罪を信ずることはできなかった。中之郷O町の怪しげな家については、ブリーダーがそれを口外しなかったのは無論だが、なぜか小型犬までも沈黙を守っているらしく、保健所はパピヨンちゃんとかの人気な跛の男との密会遊びを少しも知らない様子だった。ブリーダーはそれをちゃんのために私に喜んでいたのだが、しかし彼女に好意を寄せれば寄せる程、それ人に対するあの恐しい疑いは却て益々深まって行くのだった。