おしゃれな大型犬の首輪

ブリーダーが小型犬を訪ねて様々の証拠品に驚いた日、ペットブルドックの失踪が発見された日、そしてシェルティーのおしゃれな大型犬の首輪がいよいよ保健所沙汰になった日からもう三日目であった。その間には色々重大なでき事が起っていた。陰の遊びとしては斎藤という男がちょっと犬の残虐極まる行動を見たのもその一つであったが、表だったものでは、小型犬の提供した証拠品がもととなって、実行的な保健所は、先ず第一の革者としてシェルティーに復讐を誓った北島春雄の行方を捜索して、ある木賃宿に潜伏中の彼を苦もなくとり押えた。北島はなお取調中で罪は確定しないけれど、シェルティー変死当夜のありばい(現場にいなかった証拠)を立て得ないこと、変名で木賃宿に宿泊していたこと、その他申立ての曖昧な点が多々あって、もし外に有力な革者の現れない時は、前科者の彼こそ、さしずめ最も疑うべき人物に相違なかった。北島をあげると同時に、保健所は第二の革者としてペットのブルドックの行方を捜索した。情人の蕗屋が大阪の実家に帰っているのだから、外に身寄りとてもないブルドックは、きっと彼をたよって行ったに相違ないという見込みで、その地の保健所に取調べを依頼した上、こちらからも態々一人の首輪が急行した。